JFA プレミアカップ2008 相双地区予選 出場
今年に入って3回のトレーニングを経て、とうとうプレミアカップの予選の日が来た。中1選手は気合満点、朝から楢葉中学校の公式戦ユニフォームを準備し、すでに臨戦態勢。残念ながら体調不良で1名の選手が欠場となったが、残り4名の選手が25分ハーフの2ゲームにフル出場した。トレーニングの時から、チームのリーダーシップをとるべく、味方に状況を教えたり選択肢を増やす、或いは自分の意図するプレーを伝えるべく積極的にプレーしていた姿勢は今日も変わらない。同年代の選手でチーム編成されていたからか、普段はリーダーシップをとることについて先輩選手に頼っている面が見られる選手の積極性にも目を見張るものがあった。
さて、1回戦となった双葉中との試合は3-0で勝利。アカデミー選手が2つのゴールを決めた。選手いわく、後半は運動量が落ちてなかなかリズムがつかめなかったようだが、2回戦に駒を進めることができた。
2回戦の相手はJヴィレッジスポーツクラブ(以下JSC)。アカデミーの選手はトップ、トップ下、ボランチ、左サイドハーフ(システムは1-3-5-2)で出場。前半開始直後にコーナーキックに対するクリアが小さくなったところからこぼれたボールを決められ0-1。ここから楢葉中学校の組み立てから素晴らしい攻撃が始まる。くさびのパス→トップ下がサポートに入る→トップがトップ下の選手に落とす、そしてプルアウェイしたこの選手にスルーパス。ほぼワンタッチに近いリズムのパス回しから突破を図り決定的なチャンスを演出した。ベンチで見ていた我々スタッフもわくわくするようなゲームが展開され、午前中のトレーニングを終えて応援に駆け付けた中2~高1選手も我を忘れて保護者のように温かい声援を送る者もいた。試合後に感想をきくと、「アカデミーで普段行っているパスを回し、ボールを動かすトレーニングの成果がゲームで出ていて、楢葉中学校の部活動生徒とも息があっていた」とのこと。まさに前半の終り15分くらいは素晴らしいサッカーが展開されていた。楢葉中学校の流れでゲームを進めていて、実際にゴールを奪えるチャンスは2.3回あった。しかしここで得点を奪えなかったのが痛い。前半途中で「シュートぉ!!」とどこかで聞いた声がピッチ上に響き渡ったかと思えば、中3選手が思わず叫んでいたことも付け加えておこう。
さて、後半になると一試合目と同様に運動量が落ちてしまったためか、JSCに押し込まれる時間帯が続く。何とかボールを保持し主導権を取り戻そうと、懸命にアクションを起こすのだが、単発で終わり連動しない。相手のシュートミスに助けられ失点は1に抑えたのだが、前半のようなゲームが展開できず、0-2で敗戦。
楢葉中学校部活動生徒とアカデミー生で挑んだ楢葉中学校の「JFA プレミアカップ2008 相双地区予選」は2ゲームで終わった。顧問の先生の、「これで今回のチームが解散してしまうことはとても惜しい。もっとトレーニングをしたら良いチームになる。」というコメントの通り、今日のゲームを含め3回の活動でここまでチームとして機能したことは驚きであった。これはチーム練習の賜物というより、普段互いの活動で目指しているサッカーが同じであるがゆえであろう。アカデミーの選手にとっては男子チームの中でプレーできた経験はとても大きい。と同時に、全国にはこのように男子チームに入っても遜色なくプレーできる女子選手はまだまだいるはずである。そんな選手たちが、今回のアカデミー生のように3種の大会に参加し大きな経験を得ることができることを女子サッカー関係者としては切に願うばかりである。
コーチ:坂尾美穂